昨日の夜、BSで「楢山節考」をやっていたので観ました。
監督の今村昌平さんがこの前亡くなったから、追憶でやってたのかな。
23年前の映画で当時カンヌでパルムドールを獲ったそうです。
名前は知っていたけど、観たことなかったので観れてよかった!

深沢七郎の小説を映画化したもの。
ストーリーは、姥捨て。そのもの。
舞台は、日本の貧しい長野(だと思う)の村落。
その村落には昔から齢70を過ぎた老人たちは口減らしのため
裏にある楢山に捨てられる決まりがあり、主人公も自分の母を
捨てにいかなくてはならない。
・・・・と簡単に書いてしまえばそうなんだけどね。

いやー、これは絶対観たほうがいいですね。
今村監督の得意とする「生と性」がまざまざと描かれております。
生々しいけど、とても骨太で美しい映画です。
こういうテーマを描かせるとすごいうまいよねえ。
なんつうか鳥肌立つもん。
「にっぽん昆虫記」も良かったです。

主演の緒方拳、若くてかっこいいです。萌。
母役の坂本スミ子もいいけど、この映画は左とん平が私的に
ナンバーワンですよ!
緒方拳の弟役で出演してました。
口があまりにも臭くて、村中の人にクセークセー蔑まれてて、
女も寄ってこない。
だから常に自分の性欲を持て余してて、人の家の犬を犯したりねー。
とてもかわいそうなのよね。
この役、とん平がものすごくうまく演じててねー。
アサハラショウコウみたいだったなあ。見た目・・・。
清川虹子とのラブシーンが生々しくてよかった。

すごく閉鎖的な村落の話なんだけど、昔の日本にはこのような村は
いっぱいあったと思う。
慣習にがんじがらめにされていても、それが「普通」。
盗みをするものは、一家全員皆殺し、それが「普通」。
食べていくためには親を殺す、それが「普通」。

息子が母を捨てに黙々と山を登り、母もその運命を当たり前と
思い、全く抵抗しない。
むしろ自分から、もう自分はお山へ行かなくてはならないと
息子に姥捨てをせがむ。

非常に残酷な話だけど、これって今も普通にある話よね。
捨てるところが山じゃなく、老人ホームに変わってるだけだもの。
なんだかなあ・・・・。

最後、感動的に終わらせないところがまたいい!
緒方拳の最後の表情がいい!
ほっとしたようなつらいような、なんともいえない顔・・・。
素晴らしいよ。

人間ってエゴのかたまりね。
きれいなこといっても自分が一番大事なんだもの。
誰だってそう思ってる。
自分は人と違うって誰だって思ってるけど。
そんなことはない。
欲望だけで生きていくことが出来たら、楽だ。

コメント

なつ
なつ
2006年6月24日19:47

こんにちは。
サッカーを一戦も観てない非国民(?)ななつです。
『楢山節考』のラストの緒方拳ですが
撮影のしょっぱながこのラストシーンだったそうです。
何かの事情で準備が遅れていて他のシーンが撮れず
取り敢えずいってみるか〜みたいな事で。
と言ってもいきなりで緒方拳も大いに戸惑い、
どういう演技をすればよいか監督に尋ねた所、
そのまま途方に暮れていればOKと言われたとか。
そして全体が出来上がってみると、実に効果的に仕上がっていたそうです。
案外あれこれやった後の思い入れのある演技ではなく、
自然に文字通り途方に暮れた表情が欲しくて、敢えて
そんな撮影をしたのかと思ってしまいました。

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索